はじめて師にお会いしたのは
とある管理釣り場だった
シーズンオフの練習に
竿を振りにいったスレた鱒の管理釣り場で
他が沈黙する中
シングルのバンブーで次々に魚を釣る
一人のフライフィッシャーがいた
思わず近くによって言って
「どんなフライで釣られているんですか?」
とお声掛けをしてから
師のホームである
東北の渓流など
様々なフィールドにご一緒させてもらった
世間は狭いもので
クルーのリーダーの千葉さんも
嘗て師と共に釣りをした仲間だった
そしてロックスの松木さんの店に展示されていた
シングルのバンブーは
今僕の手元にあったりと
なんだが「絆」を随分繋いでくれるご縁も沢山あった
以前某場所に渓流釣りにいく、道中の長い移動時間に
ダブルを振るようになった自分から
「なんとか一本ダブルハンドを製作できないか?」
という話が、師にダブルハンドの竿を製作していただくキッカケだったことを今でも覚えている。
カーボンロッドが主力となっている今の自分の釣りの中で
北の大地での遠征でも
度々悔しい思いをした
「コッ」とも表現できない小さな力強い当たり
合わせることもできないのだが
一度だけ、まぐれでその当たりを取ることができたときの
一瞬にしてラインを切られた感覚
僕は実用的で
現代の手法をしっかり決め込んだ
「実釣」に使ってなんぼのバンブーロッドが欲しかった
師が当時構想を煮詰めていた
「スプライスフェルール」
金属のフェルールの重量を低減させ
スプライス特有の「一体感」というか一本感を味付けとして
バンブーなのにバリっとしていて
無駄に太くない、スイッチのようなダブルハンド
長さを12ftとして
一日普通に振ることができる
「実用バンブー」
そんなコンセプトの元
約3年間の時間を経て製作していただいた。
私がクルーの活動を行うということで
テストには、横田さん そして下澤さんという
国内トップクラスの方々のご協力をいただき
この竿の振り初めをすることができた。
実釣も行い、今後、更なるバージョンアップも視野に置いている。
何よりも、この竿の製作を通じて感じたこと
「いいものは、振ればわかる」
そして
「いいものは、時間が掛かる」
これに尽きる。
この竿を製作していただくにあたり
随分とクラシックから様々なバンブーを振る機会があった
しかし、どうしても「バンブーだから」ということから
抜け出していない竿に
僕は納得がいっていなかった
その納得を解消させてくれたのは
僕にとっては、この一本であることは言うまでもない
そして、師が25年間、第一回展示会より
皆勤賞で展示されてきた
2014年 ハンドクラフト展において
一位をいただいた縁起の良い竿ともなった
そして、自分ごときではあるが
私の初めての世界に一本しかない
シグニチャーロッドとなった
この竿は、難しく語る竿ではないと個人的には感じている
シンプルに語るなら
関節部分があるように感じないワンピースの竹竿で
しっかりダブルハンドの要求する距離を出してくれる
竹特有の竿の入りの良さを持っている、釣りをする為の
「竹でできた本気の釣竿」
師は何故プロにならなかったのかを
以前よく僕に話してくれた
「釣り師でいたいから」
そして
「釣り師として竿を作りたいから」
現在、Katsuya Bambooはどこにも販売されていない。
ユーザーは師のまわりの仲間達だけだ
そんな環境だからできる
「一本の竿の完成度」は正直驚く
僕自身、この竿を振るに対して
しっかりしたキャスティングができなければ
失礼と感じ、随分と投げ込んできた
そして3年の時間を経て
やっと手元にこの竿が来てくれた
道具として「実釣」で使って輝くもの
長い年月を共にできる道具であること
そして僕にとっては
師と竿を通じて多くの仲間との
「絆」を繋いでくれた竿であること
今シーズンは6月を開催として
各方面で思いっきりこの竿で
「釣り」を楽しみたいと思っている
製作していただいた師へ
心からの感謝と
ロッド製作に対して
多大なるアドバイスをいただいた諸先輩方
そして横田さん 下澤さんを含め多くのスーパーアングラーの方々に
心からお礼を伝えさせていただきたい。
感謝
ありがとうございます!
最後にこのロッドの動画をどうぞ